障がい者ICT活用支援講座 開催
2019年2月15日(金)と16日(土)の2日間
那覇市IT創造館にて「障がい者ICT活用支援講座」を開催いたしました!
県内外の先生方に受講者のみなさま、たくさんの方にご参加いただき誠にありがとうございました。
とてもたくさんの事を教えていただきましたので、全部は紹介できませんが少しだけでも紹介したいと思います。
1日目 2月15日(金)
【障がい全般】人間哲学に基づく障害者ICT支援
<講師プロフィール>
寺島 彰/Akira Terashima
- 前浦和大学総合福祉学部 学部長 教授
- 公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 参与
大学で障害児教育を専攻。身体障害者更生施設のソーシャルワーカーとして16 年間勤務した後、厚生省(現厚生労働省)障害福祉専門官、国立身体障害者リハビリテーションセンター国際協力専門官、同センター研究所障害福祉研究部社会適応システム開発室長、同障害福祉研究部長、浦和大学総合福祉学部教授・学部長等を歴任。現在は、公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会参与。
日本社会福祉学会、日本介護福祉学会、日本経済政策学会、日本地域政策学会会員。日本障害フォーラム国際委員長、障害者放送協議会放送通信バリアフリー委員会委員長。社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員。
寺島先生は長年障がい者福祉に関わっており、障がい者支援制度の歴史から最新のテーマ、また障がい者のICT支援に必要な理念・知識・技術など幅広い内容をお話しいただきました。
DAISY
詳しくは → DAISYのホームページを別タブで開く
視覚障がい者やプリントディスアビリティ、ディスレクシアの方向けのデジタル録音図書ですが、発達障がいの方にも利用されているそうです。DAISYコンソーシアムが数千台つくり海外にも配ることで世界的な規格となりました。
食事支援ロボット「マイスプーン」
詳しくは → マイスプーンのホームページを別タブで開く
手の不自由な方が体の一部を動かすだけで、自分で食事ができるようにするロボットです。自分で食べることができるという事の大切さをお話しいただきました。
また、これまでいくつもの機器が開発されてはだれも使わずに無駄になることも多いとのことです。買えない・使わない物を作ってもしょうがない、技術者に任せっぱなしでなく医療や福祉のことをわかる人が開発に加わることが必要とのことです。
2日目 2月16日(土)
【肢体障がい】肢体不自由支援におけるICT利活用
<講師プロフィール>
渡辺 崇史/Takashi Watanabe
- 日本福祉大学健康科学部 教授
大学卒業後,電機メーカーにて商品設計および要素技術の開発に携わる.その後,名古屋市総合リハビリテーション事業団に入職し,リハエンジニアとして勤務.障害のある人の福祉用具の適合相談や製作改造対応等の工学的支援,ボランティア育成を含む技術支援ネットワークの構築,および支援技術や福祉用具の開発等に従事.2005年日本福祉大学福祉テクノロジーセンター助教授を経て,現在,同大学健康科学部教授.現在も地域に出向き,特に特別支援学校での相談や障害学生支援にも携わっている.
博士(工学).
渡辺先生は、開発者として、また支援の現場で実際に携わっている方で支援機器に関すること、支援機器や支援現場での考え方など、実例を交えて教えていただきました。
支援者に求められること
- テクノロジー:福祉用具。機器・道具を活用する技術
- アセスメント:利用者に関する情報を収集・分析し、解決すべき課題を把握する態度
- 周辺知識 :障害の理解、福祉制度に関する知識
上記のスキルが必要とのことです。一人で全てを持っていなくても、自分の苦手な分野はそのスキルを持った人とつながり連携しながら支援をしていくことが大切です。
サポートにおける支援の定石(グループワーク)
各グループに分かれて支援をする際に自分が大切にしていることと、他の支援者が大切にしていること、また、支援を受ける人が大切にしていること。この違い・ずれがあることを学びました。人によって重要視していることの順番は様々で正解の順番はないのかもしれません。
ただ、独りよがりの支援になっていないか?と意識すること。
人と意見が異なっていても価値観を同じにするのではなく、多様な価値観を認めることが大切とのことです。
【実践講座①】支援現場と給付金制度の活用について
<講師プロフィール>
吉原 朝健/Choken Yoshihara
- 有限会社ハート義肢 工場長
- 沖縄県障がい者ITサポートセンター中北部地域協力員
10代の時に事故による左下腿切断、20の時にハート義肢へ就職、以降麻痺患者、重度障害者施設、在宅での座位保持や車椅子、特殊機器を専門で扱う現場職人。
吉原先生は沖縄でICT支援機器を扱える数少ない技術者です。現場で支援をするにあたりおすすめの支援機器、スイッチのことなどを教えていただきました。
おすすめの手作りスイッチ
手作りで自作されているタクトスイッチを紹介いただきました。このスイッチはどこから押しても反応し硬さも選べることがよいそうです。タクトスイッチにドーム状のケースをかぶせて専用の溶剤で固めて作るそうです。それを体の動く個所にベルトで留めて使用します。
PPSスイッチ
詳しくは → PPSスイッチの製品情報ページを別タブで開きます
「圧電素子(ピエゾ)」と「空圧」の二種類のセンサーを使い分けできる入力装置です。吉原さんはスイッチを選定する際にまず上記で紹介したおすすめのタクトスイッチを使ってもらい、力がなく押せない場合はPPSスイッチ、体も動かなければ視線入力を考えるそうです。
また、介助者への配慮を常に念頭に置いていて支援しているそうです。設置や使用方法の難しい装置よりも、できるだけ簡単に使用できる機器を使ってもらう事が大切とのことでした。
【実践講座②】コミュニケーションスイッチ製作
<講師プロフィール>
照喜名 通/Toru Terukina
- 沖縄県難病相談支援センター アンビシャス 副理事長
1962年、那覇市出身 クローン病患者、団体発起人。当事者の立場から難病患者の相談員を担う。
難病支援の業被が認められ2008年に難病患者として初の沖縄コロニ一大賞受賞。
看護専門学校では非常勤講師、難病患者代表として県の各種委員会に積極的に参加。
理事長をはじめ理事会の指導のもと団体運営の現場責任者としてアンピシャスを運営。
照喜名先生には難病についてのお話と、はんだごてを使ってのスイッチ製作を教えていただきました。はんだごての使い方に関してはアンビシャス事務局長の中村明先生にも参加いただきました。
難病について
難病とは、発病の機構が明らかでなく治療方法が確立していない希少な疾病であり、長期の療養を必要とするもの。その中でも医療費助成の対象となる指定難病は患者数が本邦において一定の人数((0.1パーセント程度以下)※当面は0.15パーセント以下)で客観的な診断基準(又はそれに準するもの)が確立していることが条件とのことです。難しい!
沖縄県は人口145万人でうち難病者が10,184名。1000名に7名、142名に1人とのことで他人事では済まされません。皆が発症後対応できるように知識を身に着けておく必要があります。
スイッチ製作
今回は100均で見つけたのSDカードケース入れにマイクロスイッチをグルーガンで留めてスイッチを作り、はんだごてを使用しスイッチと3.5mmモノラルプラグ(オス)をつなげてスイッチを作りました。
2時間では時間が足りませんでしたが、みなさま楽しんで作業をしていました!はんだごてを使えば自分のアイデアでいろいろなスイッチを作れるようになるとのことですので、使う人に合ったスイッチを自作できるようになりたいです。
本当に一部のみの紹介です。
受講していただいた皆様からのアンケートも参考にして、またこのような機会を企画して、県内にITサポーターの輪を広げていきたいと思いますので、今後とも応援よろしくお願いします。
ITサポートコーディネーター 上里